・・・効率化の落とし穴にはまっていませんか?
●「効率化」を煽る人たち・・・
最近、「効率化」と単語をネット系のビジネスニュースで、非常によく目にする。 おそらく、その背景に2つの要素が影響していると考えられます。
1つは、これから日本は労働人口が減る中で、一人あたりの生産性(労働生産性)を高めなければ、全体の生産性も下がってしまうのは間違いないですから。 それと、もう1つの効率化を訴えるのがITシステム関連の方々!「効率化アップ」を謳って、サービスを売り込もうとする方々の『煽り!』が多すぎかと思います。
問題は、この2つ目です。
確かに、何かの業務を効率化する事には、当方は、概ね異論はありません!特に労働人口の減少問題は大きな課題ですが、どうも?効率化を『煽る』方々の、考え方は、所詮がサービスを売る為の手段でしか無いようにしか感じない!
だから、少し「業務の効率化」について考えてみたい!
そりゃ効率が、低いより高い方が良いのに決まっているのですが、どうも昨今の効率化の話は違った意図がある様な気がします。 以前、このコラムに書いた生産性の話と同じで、話のすり替えがある様な気がする!
●効率化の落とし穴、効果=価値
事業戦略から見て、効率が必ず優先される訳では無い!効率性を後回しにしてでも、優先されるべき事は多々あります。
研究開発や、品質管理、顧客対応の分野など効率優先では、必ず間違いを犯す!
すでに顧客対応の所など、間違いを犯している企業は多い! ・・・その証左として、どこかのコールセンターに問合せで電話してみて下さい!「なんで、こんな会社の顧客になったんだろう!」と思いますから・・・ やってる会社は効率化を追求したのでしょう! もう一つ考えなければ成らないのは効率性は「価値を生むか!?」=つまり効果があるか!です。確かに製造現場では性能効率が高まれば、製造原価は低減し粗利は増える。ですが、
実は全体の価値は高まる訳ではありません。費用が下がるだけです。
特に、マーケティングの現場では必ずしも、そうとは言えません! 例えば提案からクロージングまでの期間が短い方が効率性が高い!としましょう!・・・そう言う意図ですよね・・・ しかし、その提案は、本当に価値が高い提案か?です。 相手が早く理解して、購入の判断をしてくれる!と言うのは、要するに解りやすい!提案、買いやすい提案!と言う事にもなる。 そうなると営業・マーケティング担当者は必ず「売りやすい」モノしか提案しなくなる! 「売りやすい」モノは競合も多いのが通常です。 価値を生むとは、難しい事です。本来相手にじっくり説明し、検討頂き、メリットを認識頂いてこそ成り立つ!そう言う高付加価値で、画期的なモノを売るのには苦労が伴う! 当然、それを如何に理解を頂くか!と言う考察を充分行って、解りやすくするのは当然として、そう言う画期的なモノへの挑戦意欲を削いでしまう・・・効率化が優先!・・・効率化!ばかり追求すると、組織は確実に「考えなく」成ります。 ・・・そう思いませんか?? ここに効率化の落とし穴があるのです。 何も当方は効率化を無視しろ!と云ってる訳ではありません!効率化=業務や資金、設備稼働等の効率を高める事は重要です。しかし、事業は効率化を高めるのが目的ではありません。価値を創造し、それを提案し、提供するのが本義です。
つまり「効果」を高める事を第一義とすべきなのです。 しかし、何か最近の「効率化」の話は釈然としない!
●「考えない」奴が増える!「考えない」組織になってしまう。
ここからは、少し本音で書きますが、最近の法人向けのSaaS系システムの乱立(※当社も販売をしていますが・・・)の中で見ると、企業の価値を生み出す要素のモノは殆ど無い!業務効率を高める!そういう機能ばかりです。
おそらく、この効率化の発信も、販売する彼らの策謀でしょう!
生産性の話と同じです。
昨今では、生成系AI・・・ChatGTP等で、資料作成や企画業務ですら、AIに任せましょう!効率化しましょう!と煽っています。
そんな事が進めば「考えない」アホばかりが組織に増えるだけです。 当方は、何もAIの可能性を否定している訳では有りませんが、成熟期に入ったIT業界の煽りに乗せられると、「考えない」人だらけに成ります。 不思議な事に、それを誰も言わない! 営業業務なら営業業務としての、効率を高める事と、価値を創造・高める事、双方の考え方が必要です。仕事をする!とは、「考える」事です。顧客の事を考え、モノの価値を考え、その提案を考え・・・
その繰り返しです。効率が上がるからと言って、AI等に置き換えた組織が、さて?まともに効果を出せるでしょうか?
冒頭に製造現場の効率の事を書きましたが、何度も書きますが、営業・マーケティングの現場は「人」が動きます。 機械ではありません!
※いつかはAIとロボットが全部やってくれるかも?ですが・・・ そして相手も「人」です。 その事を忘れた効率化は、大きな落とし穴が在る!と、留意してても良いのでは無いでしょうか!そして1人あたりの「効果」を高めねば成りません。それが労働人口減への答えかと思います。
・・・経営者の方には、もっと総合的にお考え頂ければ!と思います。
マーケティング・プロデューサー
原 テルキ