●日本の生産性は、なぜ落ちたのか?
コロナ禍、ウクライナ・・・そこから始まった円安。 いや、それ以前から日本の中小企業の収益性は、そう高まっていません。(全体として)生産性が落ちたから?・・・そうかも知れませんが、なぜ落ちたか? 多くの経営者の方は勘違いをしています。
それが円安で、ものすごく解りやすくなったので・・・
・・・このグラフは、1997年を100として、日本の資本金10億円以上の企業の売上高、給与、配当金、設備投資等の推移を表したもです・・・早い話、大企業の推移だと思って頂ければいいです。
一目瞭然ですが、このグラフの20年間大企業は、殆ど付加価値を高めていない。・・・つまり粗利額も率を高めていない!
「経常利益は伸びてるじゃないか!」と云われる方!
よく見て下さい。売上はわずか3%のアップ、その中で経常利益を伸ばすには、まず経費(主に人件費)を下げる!そして原価=仕入れコストを下げる!それしか方法はありません。しかし人件費も生産性の一部である事は理解下さい。
事実、今、問題になっている所得が伸びない!その問題の原因もここです!
では、経費を下げ、仕入れコストを下げて何をしたか?
ご覧の通り、株式配当を増やし、その功績で役員報酬をアップさせた!
これが日本の大企業~産業構造の実態です。
もっと辛辣に言えば、大企業の経営陣は弱いモノ(従業員、下請け)いじめをしてただけです。実は、まったく生産性を上げていない!
やったのはコストダウンだけです!
それを助長したエコノミストも沢山います。
・・・これが日本の生産性ダウンの実態=正解です。グラフがはっきり示しています。
●コストダウンでは全体の生産性は延びない!
「コストダウンは悪い事では無いだろう!」そう、云われる方もいらっしゃるかも?
そうです!無駄は、はぶきましょう!
・・・では、何が無駄でしょうか?
日本ではなぜか?「コストダウン行為」が神話化され、金科玉条の様に扱われました。特にバブル崩壊以降に・・・
その神話の代表例が、T社の有名な言葉「乾いた雑巾を絞る!」です。その雑巾とは?何を指しているのでしょうか?当方は、このT社の系列・・・早い話下請け!の経営を見た事がありますが、はっきり言って「ひどい」です。 生かさず殺さず!・・・この言葉がぴったりです。
このグラフをよく見て下さい。設備投資の数字を!97年から見れば36%も落ち込んでいます。もちろん海外移転もあるでしょうが・・・
これでは給与を減らし、原価を落とし、設備投資を減らせば国内の経済構造は疲弊していきます。
つまり売上の伸びは少なく、粗利率は伸ばせていない!
コストダウンだけが行われた結果です。
つまり大企業(全体論として)は、新しい価値創造が出来ていないのです。粗利(付加価値)は増やせず、株主には媚び、従業員は疲弊させ、自分達の報酬だけは増やす・・・数字が示しています。 当方は何も政治的な事を云いたい訳ではありません。
この様な経済構造の中で、中小企業が生き延びるのは、どうすればいいか!?
●「経営生産性」を上げる!
皆さまには、生き延びる「考え方」を探っていきたいのです。 その為には、まず、この勘違いをお気づき頂きたいのです。
大事なのは事業自体の付加価値を伸ばす事、粗利を増やす事です。 ・・・どう見ても自明です。
よく言う労働生産性では無く、厳しい言い方になりますが経営者の生産性です。生産性の話は、なぜか?すぐの労働生産性の話に飛びます。その前に事業体そのもの生産性の事を充分に議論すべきなのに、そこを、すっ飛ばしています。
問題なのは労働生産性の前の、あえ言えば「経営生産性」です。事業体全体の話なのです。
つまり事業の付加価値を上げ、粗利を増やす。
その事業戦略や営業の仕組み無しで、労働生産性はアップしない!これは経営者=社長の役割です。
・・・中小企業は、前記した大企業の様な事をすれば自滅します!
効率化!効率化!と、云っている間に、実は成果が落ちているのを気付いて下さい。 確かに人口動態を見れば、労働人口は減ります。効率を上げなければ成らないのも事実ですが、まずは事業全体の付加価値=経営生産性アップなのです。
この勘違いに気付いて頂きたいのです。
生産性を上げるには事業の改革、ビジネスモデルの変革が必要です。大企業を追随すれば、その大企業の「乾いた雑巾」になってしまいます。
新しい価値=利益を創らねば成りません!
その為に新たな事業戦略創りです。
今こそ、その覚悟が経営者に必要なのです。
マーケティングプロデューサー
原 テルキ