本コラムの趣旨を多少逸脱しますが、少しマクロ環境の事を考えてみたいと思います。
●明るい未来になるか?
本文を書いているのは2023年12月です。世界的にはウクライナの戦争が長引き、その上中東ガザ地区でのイスラエルの戦争が激化中。それも含めた原因で世界的に資源価格(エネルギー、食糧、鉄等の金属原料等)が高騰、しかも日本は円安。そのお陰で国内はインフレ傾向ですが、金利はなぜか?上がらずの状況。
アメリカの金利が下がるかも?で、少し円高になるかも?ですが、為替の動きは解らないものです・・・
世界的なマクロでは、この様な状況でしょうか・・・事業環境はどうなり?何をすべきなのか?を考えみたいと思います。
さて、日本は?と言うと、完全に2極化傾向では無いでしょうか?
まず円安の効果で、輸出産業(主に大企業)は比較的業績が良い!あくまで比較的に・・・ですが・・・あえて言えば国内で製造している企業では無く、製造もマーケティングも海外で行う企業は、そのまま外貨での調達・販売なので非常に業績が良い!
例えばトヨタの年間販売台数は大体1000万台強ですが、国内生産は300万台。国内販売は100万代を少し上回ったあたりのはずです。
逆に国内で製造・マーケティングする企業(主に中堅・中小企業)は、輸入資源高の影響を諸にくらい業績悪化傾向です。特に消費財の影響は大!ですが、その消費財を作る為の産業財関連にも大きく影響します。
そして国内産業(製造・販売)の企業にとっては、人口動態の影響が益々増して、将来市場への期待が弱まる一方です。
要するに人口が減る!特に若い層が減る=あらゆる市場は縮小する!このコラムでも何度も訴えてきた事です。たった一つだけ・・・コロナ終息後のインバウンド市場(観光需要)だけが頼り!の様な状況が、今の経済状況では無いでしょうか?
●国内企業の経営者は、何が出来るか?なにをすべきか?
「なんで!?こうなったの?」の話は、横に置いておいて、この様な環境・状況・将来予測の中で、国内企業の経営者は何が出来?何をするべきか?を考えてみたいと思います。
ただ、出来る事は、そう多くはありません!
その第一は、答えはカンタンです。
・・・海外市場に進出する事です。
国内市場は縮小するのですから、成長しようと思えば海外市場に出るしかありません
・・・が・・・「それが出来たら苦労はしない!」ですよね!
それから、第二は、とにかく付加価値を増やす事。
利益幅を増やすしか在りません!要するに販売単価を上げる事です。
販売市場は縮小するのだから、販売出来る「数」は減少する。これ!自明です。1個あたりの利益を増やすしかありません。つまりモノ(商品・サービス)の付加価値をアップさせる事です。
これから事業を成長させる答えは、この2つしか有りません!どちらかを行うか!両方挑戦するか!です。厳しい話ですが、これが日本の産業の現実です。
例えば産業財で、海外需要を獲得している大企業の系列に居れば、自ら、この2つに挑戦しなくても大丈夫じゃないか!とお考えの方!それは甘いです。 大企業は、更に製造・販売も海外に出ますし、仮に国内製造でも部品その他は海外調達を増やすでしょう!国内での調達は、正に独自な高付加価値なモノだけに成るでしょう。
だから第二の高付加価値化が必要なのです。
●成すべき事は・・・?
海外進出に必要なのは、まず「人材」です。しかし中小企業では、英語がペラペラで実力のある人材確保は難しいでしょう!今居る人材を育成するにも、育成プログラムを作れません。考えられるのはリタイアされた経験者の方を確保するとかに成ろうかと思います。
まず越境ECから始めるのも手段ですが、これも自社内だけでは難しいでしょう。
そのコーディネートをする企業も多く現れていますが、消費財が先行している様ですし、日本で売れているものならば「売れる!」と言う状況の様です。
しかし、少しずつでも良いから挑戦を始めていく事が必要です。 まずJetro(日本貿易振興機構)に相談する!今ある取引先(商社・問屋)で輸出業務を行う企業と相談する。とにかく情報集めからです。 まず、経営者の方が率先で始める事です。やらなければ始まりません!
そして第二の高付加価値化は、いつも申し上げている事業戦略を構築され行動する事です。
これは第一の海外進出にも不可欠です。競争優位なモノや売り方を持たずに、海外へ出ても勝てる可能性は下がります。
●経営者が現状を意識する事と、覚悟をする事
普通に考えれば、国内の経済環境の未来は明るくありません。何度も申し上げますが、人口減で、あらゆる市場は縮小します。まず、その事を経営者の方が充分に意識をする事がスタートであり、そして改革に向けた覚悟をお持ちに成る事です。
事業を成長させるのは、すべて挑戦です。リスクを伴います。昨日と同じことをやっていれば、必ず衰退するのが、現在の環境である事を肝に命じるべきです。そして後継者も現れません。
マーケティングプロデューサー
原 テルキ