●チャネル戦略を考えないビジネスは無い!
事業において、大抵の場合、何か売る場合はチャネル(流通経路)か、その売る「場」が必要です。・・・マーケティングの4PのPlaceの話です。
多くの場合は、その商品が属する業界の流通チャネルを活用しますし、リアル店舗の場合は、その店舗の場所によって条件や集客に影響します。 仮にECで直販する場合でも自分自身の独自EC店舗か?モールか?それで色んな状況が変わります。チャネルには、その「売り場」も含まれます。
仮に道端で、ゴザでの敷いて何かを売る時も、どこの場所で売るか!で、大きく状況が変わります。それがチャネル=「場」です。チャネルを考えない事業、マーケティングはありません。
そして起業したて方に多いのですが、モノを作って「さあ!売るぞ!」の時に、このチャネル=あえて「販路」と言わせて頂きます。を考えて無い事が多々あります。
仮に考えていても、その販路の事情をよく知らずに動き始めます。
・・・そして多くの起業家の方がこのチャネル「場」の問題で、挫折されるのです。 これまで当方が、数多くの販路開拓相談を受けて、このチャネル・販路を考えずに「売り込み」「価格決定」「その他の条件要素」等を行ってしまって、その後、どうにも成らない!ケースが、沢山ありました。
●チャネル戦略での失敗例
例えば・・・こう言うケースがありました・・・とある「健康食品」を作られた方・・・商品には自信あり!です。ご自分で試されて効果抜群です。 この商品を売りたい!販路は無いですか?・・・の、ご相談です。 さて!通常の販路で薬店・ドラッグストアルートです。
当方はお願い出来る紹介先があったものですからお聞きしました。 「上代・・・販売価格はおいくら?ですか」 「1か月分で5,000円です」・・・健康食品にはよくある値段です。 「いくらいで卸せますか?」 「8掛けの4,000円です」 「あの~、ドラッグルートの健康食品は大体1掛け~良くて2掛け(マジです)ですが、 それでは商談にも成りませんが・・・」 「原料は最高のモノを使ってます!」 「誰もそんな事は聞いてません!価格を4倍にすると2万円ですね!さすがに売れる価格では無くなりますが、それでもご紹介は出来ますが・・・
・・・その価格になるとエビデンスが必要ですね!ありますか?」 「何ですか?エビデンス?って」 「一応、健康食品でも臨床で、その効果を調査するのが普通です。それを受けている医療機関もありますが・・・」
「それを取るのにいくらぐらい掛かるのですか?」 「状況にもよりますが、300万くらいと聞いています。」 「そんなお金ありません・・・でも、これで友人は癌が良くなったのです。」 「そんな事言って販売したら薬事法違反で捕まりますよ!」
「どうしたらいいんですか?」 「何か他の商品を再検討されてはいかがですか?」 「もう製造して在庫が3万ケースあるのです。」 「・・・・1個ずつ手売りですね・・・あっ!私は要りませんので・・・」
・・・大体、こういう話です。
●まず、チャネル選択を考える!それがチャネル戦略のスタート
モノを売る時はまず、どのチャネルで売るか?そこのチャネルの特性は?価格帯、チャネルの課題、一般的な納入掛け率、その先のユーザー等・・・
多くの場合、狙う顧客に辿り着く前に、このチャネル=「場」の問題で悩みます。
勿論、既存のチャネルでは、対応出来無い様なビジネスもあります。そうなると自らチャネルから作らねば成りません!~そういう挑戦のモデルもあり、成功される方もいらっしゃいます。
・・・特にIT化が進んだ今は!WEBを活用して販売する事は、現在の事業環境では必ず考えるべきです。しかし、既存チャネルに対しての施策を持たなければ、資金繰りも含めて、相当しんどい事業になってしまいます。
すべてをユーザー直販で!は、時間もコストも掛かりますから・・・
自社のモノと価値は、まず、どこに売り込むべきか?その売り込み先のビジネスのルールや慣習は何か?どの様な条件が必要なのか?
そして、どの様な提案なら売込みが成功するか!? 新規開業、新規事業では必ず調査すべきなのです。それがチャネル戦略の基本です。
売るモノだけで、チャネルを考えないのは、在り得ませんし、成功はしません!
●新しいチャネルを創る!クロス・チャネル
当方はクラウドファンディングをうまく活用して、自分のECを成功させた方も存じ上げていますが、すさまじくクラウドファンディングについて調査をし、粘りに粘って成功させたのも存じています。えらいのは、この方は、クラウドファンディングと言う「場」に合ったモノを、そこから探されたのです。
当方が良く言う、モノありきでは有りません!
逆に、健康食品の方に比べ、「場」の大事さを知っていたのでしょう!
「場」つくりからの挑戦も良いかと思います。
前述した通り、
IT&WEBを活用して、中間を飛ばし、自社のモノと価値のユーザーに直接情報発信やコンタクト、更に販売する事も可能ですので、その検討を実行は必要でしょう!~業界の慣習等は様々に対応するとして。。。
そして、ひとつご提案したいのはクロス・チャネルと言う考え方です。 既存、または他のチャネルへ、そのチャネルの商品やサービスと関連するモノ=価値を流す事です。
当方の業務事例で申し上げますと、町のお米やさん(米穀店)に対して、様々な食品をカタログを通じて販売している企業があります。この企業のベースは米卸業ですが、ご承知の様にお米の消費は年々落ちています。かつては米小売りは免許事業でしたが、その規制が緩和され様々な小売りが参入し、町のお米屋さんは衰退して行きました。(お酒小売りもよく似た現象です。) 町のお米屋さんの特色は、配達する事です。その配達の過程でカタログを配布しながら、食品の注文を貰う!
その多くはFace to Faceで、コミュニケーションを取りながらの販売です。未だに都市部の下町エリア等には、こんなコミュニティーは残っているのです。
その企業の売上は、そう大きくは無いですが、安定した売り上げがあります。このアマゾンの時代にです! 最近では牛乳販売チャネル等にも広げています。
・・・これがクロス・チャネルです。
考えれば販路としてのチャネルは、創造出来るものなのです。お米屋さんの例の様に、アマゾンでは出来ないコミュニケーションと言う価値を付加する様な事も可能な訳です。
既存チャネル、新しく開発するチャネル、そしてチャネルをクロスさせる事など、チャネル戦略で収益機会は、まだまだ可能性があります。
事業にとってチャネル=「場」は、極めて重要な要素です。
これも戦略要素を相互に考える事業戦略は必要な訳です。
ご活用頂ければ!
マーケティングプロデューサー 原テルキ