事業の利益とは何か?を改めて考えてみたいと思います。
貴社の利益は、どの様にして生まれるのか?
●利益源泉=価値の考え方を理解する。
このカテゴリーワン戦略は粗利主義であると以前、申し上げました。
事業は粗利が第一。粗利とは顧客への提供価値であり、それが生産性である。そして事業の根幹です。コストダウンも大事ですが、まず粗利を充分に確保するビジネスモデルで無ければ成らない!と云うのが基本です。
つまり事業とは粗利=利益を生み出さなければ(高めていかなければ!)成らないモノ!と云う事です。それには、利益=顧客への提供価値を創造しなく成らない!と云う考え方に至ります。
では粗利(事業利益)=顧客への提供価値とは、どういうモノか?です。
カテゴリーワン戦略では「価値」を2つに分けて考えます。 ・・・それは付加価値と価値です。
この2つを理解すると、利益への考え方が整理出来ます。
●付加価値は差別化がポイント!
以前も書きましたが、付加価値とは自社が加える加工⇒の事です。
加工と云っても原材料を加工して製品を作るとかの、製造上の加工だけでは在りません。小売店ならば商品を品揃え、それをディスプレイするのも加工です。その小売店の場所選定や、内装等も加工です。 商社等なら、メーカーから仕入れた取り扱い商品の在庫を持ち、小口で配送等を行う事も加工です。これが自社で加えた加工です。これが付加価値の「素」です。加工には様々な種類が、業種・業態によって数多くある訳です。すべての事業は顧客に対して、この加工を価値として提供する事で成立します。すべての事業は、加工の提供~付加価値の「素」を提供なのです。
・・・まず、事業とは、その様に成り立っている!と理解下さい。
さて、この加工=付加価値の「素」で、どの位?利益が取れていますか?
・・・よく聞くお話が、「昔は、よく儲かったけど、今は価格競争が厳しくて、収益性が落ちている!」と云う事です。これは、どう云う事かと云うと、同じモノを販売しているが競合が、同じ様なモノを販売しているので、その分価格競争に成り付加価値が落ちた!と云う事です。
加工の仕方は同じでも、同じ付加価値分の利益が頂けない!・・・の状況です。
・・・付加価値は、相対的に変わるのです。加工度が同じでも・・・
そして、その時考える事は、ただ一つ・・・加工の差別化です。
同じことをしても、収益が落ちる=付加価値が相対的に低減する・・・それを打破するのは加工の仕方を差別化するしか在りません!新しい付加価値の「素」を作りだすのです。
そして競争激化・収益低減の時に、絶対やってはイケない事が、一生懸命コストを落とす事です。経費を減らす~多くは固定費を下げる(大体人件費)、仕入れ先に頼み込む、加工のレベルを下げる・・・等々、これが失われ30年と言われる時期に、日本の殆どの企業が行った事です。
さて!加工の差別化と云っても業種・業態によって様々なので、加工度を上げ、粗利を増やす!と云う行為も様々ですが、その基本は「差別化」です。
・・・早い話、「他と違う事をしましょう!」です。
「差別化」が無ければ、他と一緒です。つまり代替可能で、残るは価格競争しかありません。コトラー先生の云う戦略の基本、差別化戦略です。
ただ、この「差別化」、違いがあればそれで良い!では在りません。その違いが競合他社との『優位性』にならなければ成りません!顧客にとっての価値が他社より優れている事が絶対です。
●ハイスペックになっても優位性が高まる=売れる!…とは限らない!
ここで気を付けなければ成らないのが、付加価値を上げたい!=加工度を増やす!と云う短絡的な差別化に走らない事です。加工度を増やす!は、単純に言えばハイスペック化です。日本の企業は、これが大好きでした。かつての家電がそうです。とにかく訳の解らない機能だけが上乗せされて行く、ユーザーは殆ど使わないが、使い方だけが、ややこしくなって行く!
つまり加工度を増やしても、売れない!利益は増えない!事もあるのが、付加価値の難しい所です。
ですから、顧客にとっての優位性の考察が重要なのです。
さて、それでは優位性を得るには?どうすべきか?
それは業種・業態によって、その施策戦略は様々ですが、基本は顧客価値の洞察からです。モノ(商品・サービス)のみを、いくら眺め、いくら考えても答えは出ません!
顧客・市場を基点に、事業全体からの考察が必要です。
それが故に、事業戦略つくりをおススメしています。
●付加価値を超える「価値」 2つ目の利益源泉
そして、その事業戦略上で、お考え頂きたいのが、付加価値(加工)を超える「価値」と云う利益源泉を創る!と云う事です。
上記に示した様に、競合に勝つには顧客にとっての「優位性」が無ければ成りません。しかし、それをモノ(商品・サービス)の加工だけでは、中々出来得ない、そこで考えるべきは付加価値(加工)を超えた、顧客にとっての「状態と意味」を創りあげる事です。
・・・一番の例は、ブランド価値です。 例えば欧米の高級ブランド・・・エルメスのバックを想定して下さい。あのバックの加工は確かに高級な素材、丁寧な作りですが、あれほどの価格になる加工ではありません。顧客はその「ブランド」に価値を見出しているのです。それはブランドが生み出す顧客の「状態と意味」です。 ブランドストーリーかも知れません!有名だ!と云うバックボーンかも知れません!それを手にした気分かも知れません!それが顧客の「状態と意味」なのです。
高級ブランドを事例に上げましたが、顧客の気分や付帯するサービス、その製品を通じて得られる顧客の問題解決(ソリューション)も、モノだけでは成し得ません!
事業全体の要素すべてに関わる、正に事業戦略の課題です。
何度も申し上げますが、モノだけを見ても付加価値を超えた価値は生まれません!
そのコト・・・全体で考えるコト!事業戦略の課題であるとご理解願いたいのです。
ぜひ!まずは事業戦略つくりを行って下さい。これは、その為のプログラムです。
マーケティング・プロデューサー
原 テルキ